舌下免疫療法(ダニ)

通年性アレルギー性鼻炎とは何?

スギやヒノキはもちろん、イネ、ブタクサなどの花粉症は“季節性アレルギー性鼻炎”と言われ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状は花粉が飛散する時期のみ症状が現れます。 一方、通年性アレルギー性鼻炎とは花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎などの症状と同じですが、季節に関係なく1年中症状が現れているのが特徴です。 通年性アレルギー性鼻炎の主な原因(アレルゲン)はダニ(死骸や糞)やホコリ、カビ、ペットの毛などのハウスダストであり、日本人の約4人に1人が通年性アレルギー性鼻炎と言われています。それほど多くの方が悩んでいるダニアレルギーですが、なぜそれほどまでにダニアレルギーの方が多いかと言うと、日本という国には梅雨があるからです。梅雨の高温多湿(温度:20度~30度 湿度:60%~80%)というのはダニが繁殖しやすい好条件であり、それに加え屋内にはハウスダスト、フケ、アカなどのダニが好きなエサがあり、布団や絨毯、畳など卵を産む場所といったダニにとっては最適な環境なのです。

今まではダニによるアレルギー、いわゆる通年性アレルギー性鼻炎の治療には日常生活の注意と抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤)くらいでしたが、ここ数年で舌下免疫療法という選択肢が選べるようになり、また、2018年2月より、これまで12歳以上が投与対象でしたが、原則5歳以上の方への投与が可能になりました。 舌下免疫療法は継続的に治療を行うことで、1年中悩まれているダニ(ハウスダスト)によるアレルギー症状を軽減させていくことが期待できます。根気よく体質改善をしながらご自身のアレルギーと向き合ってみては如何でしょうか。

ご自身が鼻炎だと思っている方は、もしかするとダニのアレルギーかもしれません、一度ご自身のアレルギー症状の原因が何なのか検査してみることもおすすめです。

通年性アレルギー性鼻炎の症状

  • □鼻の症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ
  • □目の症状:目のかゆみ、充血、涙目、結膜炎
  • □その他の症状:関節などの皮膚のかゆみ、のどのかゆみ、喘息の悪化(咳や痰、喘鳴、息苦しさ)

通年性アレルギー性鼻炎の原因:ダニとハウスダストの関係

ハウスダストとはホコリだと思っている方も多いかもしれませんが、ダニ(死骸や糞)やホコリ、カビ、ペットの毛などの総称です。しかし、実に98%以上がダニの死骸や糞であり、残りの数%がホコリやカビ、ペットの毛などに当たります。

このように通年性アレルギー性鼻炎の主な原因はダニによるものなのです。 日本で発見されているダニは約2000種類あり、その中で家屋(畳や絨毯、布団などの寝具、ソファなど)にいるダニの80%~90%はコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニと言われています。通年性アレルギー性鼻炎の治療にはダニ(コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニ)への対策が必須だということです。

通年性アレルギー性鼻炎の根治治療、舌下免疫療法とは?

ダニの舌下免疫療法は、アレルゲン物質のエキスを含む錠剤を舌下(舌の裏側)に1分ほど保持し、そのあと飲み込むことを継続することで、体をダニアレルギーから慣れさせる治療法です。 同様の根治治療として減感作療法と言う皮下注射を行う治療もありますが、注射による痛みや腫れなどの負担がないため舌下免疫療法はお子様でも開始していただきやすい治療法です。 根気強く継続する必要がありますが、治療を継続すれば徐々に効果を感じていただけることが多いため、当院でもおすすめしています。

減感作療法と比較しても、利点が多い舌下免疫療法はどんな患者様におすすめなの?

  • □ダニ(ハウスダスト)アレルギーの症状を軽減したい、もしくは完全に治したいとお考えになられている方
  • □年中鼻炎に悩まされているという方
  • □飲み薬や点鼻薬を使用しても、眠気などの副作用がひどい方
  • □長期にわたる治癒を望んでいる方
  • □数年後に受験を控えているお子様、鼻炎で勉強に集中できないことが心配な方

舌下免疫療法で期待できる効果とは?

かゆみや涙の症状が軽減、もしくは消失する

くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が軽減、もしくは消失する

日々の生活

飲み薬の量が減る、あるいは不要になる
治療を続ければ続けるほど、治療効果が高まって根治も期待できる

舌下免疫療法の流れ

血液検査や問診などによりダニアレルギーに対するアレルギー性鼻炎であることが確認できたら、最初の1週間は3,300JAU錠を2週目以降は10,000JAU錠を1日1回1錠服用します。初回は当クリニックで服用し、2日目からは自宅で服用していただきます。

検査・診断
 
  • 血液検査
  • 問診
クリニックで
初回投与
  • ミティキュアダニ舌下錠3,300JAU
2日目~7日目
(自宅)
  • ミティキュアダニ舌下錠3,300JAU
  • 7日目に受診が必要です
8日目以降
(自宅)
  • ミティキュアダニ舌下錠10,000JAU
  • 1か月に1度は必ず通院が必要です。

*初回投与時は院内で30分間の経過観察が必要となり、17時半までにお越しいただく必要がございますのでご了承ください)
*ダニアレルギーの舌下免疫療法には2年以内に行なったダニアレルギーの採血結果が必要となります。他院で行なっている方は必ずお持ちください。
*採血結果がない場合は検査から行なわせていただきます。
*転院の方は必ずお薬手帳をご持参ください。(お薬手帳がないと処方できない場合があります)
*未成年者は必ず保護者の方とご受診をお願いします。
*大学生・社会人の未成年の方で、保護者の方とご受診いただけない方は、下記の保護者の方の同意書を記入していただきお持ちください。

>>舌下同意書ダウンロード(PDF)

治療費の目安

3割負担の方の場合、治療費は以下のようになります。
(当クリニックと薬局でのお支払い合計額の概算)

初回投与時 約1,300円~1,900円
2回目投与時
(初回投与時から1週間後)
約1,200円~1,400円
3回目投与時以降 約2,000円~3,200円

※お薬をもらう薬局によって金額は少しずつ変わります。
※アレルギー検査が必要な方は別途料金が必要です。(約1,500円~5,000円)
※舌下免疫療法以外の診察を受けた場合は別途窓口負担が必要になります。

舌下免疫療法治療中の日常生活の注意点

ダニアレルギーに対する舌下免疫療法を効果的に継続するためには薬を服用するだけではいけません。以下の方法を参考にしていただきご自身の身の回りから少しでもダニアレルゲンを除去・回避してください。

  • □ていねいに掃除機がけをする
    • 1週間に2回以上
    • 1畳あたり30秒以上
    • ほこりの立ちやすい場所は拭き掃除の後に掃除機をかける
  • □布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけやめる
  • □ダニを通さないカバーをかける
    • ベッドのマット
    • ふとん
  • □寝具を干す

    干す目安

    • 1週間に2回以上干せない日はふとん乾燥機などを使用する
  • □部屋の温度・湿度を調整する
    • 湿度:50%
    • 温度:20~25℃
  • □シーツやカバーは、まめに洗濯をする
    • 1週間に1回以上
  • □寝具の掃除機がけをする
    • 1週間に1回以上

「是非、舌下免疫療法をしてみたい!」と考えている方に知っていただきたいこと

ダニアレルギーへの治療法であるため、その他のアレルギーでは効果が期待できません。

必ず全ての方が完治するわけではないことご了承ください。

以下のいずれかがあてはまる方は治療に際して注意が必要です。

  • □アレルゲンを使った治療や検査によってアレルギー症状をおこしたことのある方
  • □ 気管支喘息の方
  • □ 高齢の方
  • □ 妊婦の方、授乳中の方
  • □ 抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症のある方
  • □ 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症がある方
  • □ 他のアレルゲン免疫療法を受けている方
  • □ 他に服用中のお薬がある方(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOⅠ)など)
  • □ 全身ステロイド薬の投与を受けている方
  • □ ダニ以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方

副作用がある治療法であることをご理解ください。

アナフィラキシーショックのような重篤な副作用の報告はほとんどありませんが、体に免疫を作る治療法であるので患者様によっては以下のような副作用が起こる可能性は否定できません。

  • □腹痛・嘔吐・下痢
  • □口腔内もしくは唇のかゆみ・浮腫・感覚異常
  • □蕁麻疹
  • □喘息発作
  • □目や耳のかゆみ
  • □喉の炎症や違和感
  • □くしゃみ・鼻水・鼻づまり

尚、上記のような副作用はよく見られる傾向にあるので、発症当日は経過を観察し、症状が治まらない場合は翌日受診してください。但し、以下のような重篤な副作用がみられた場合は直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。

  • □突然のショック症状(蒼白、意識の混濁etc)
  • □腹痛や嘔吐などの消化器症状
  • □息苦しさなどの呼吸器症状
  • □蕁麻疹などの皮膚症状

治療期間

3年~5年の治療が必要です。

毎日お薬を服用していただく必要がありますので、根気が必要な治療です。
ただし歯磨きと一緒で慣れてしまえば習慣になり、無理なく治療を続けていただけます。

治療を続けるためのワンポイントアドバイス
・毎日薬を滴下するためのタイミングを決める(お風呂を上がった時、歯を磨くときetc)
・1ヶ月に1回通院するための曜日を決める(第2週目の土曜日etc)